『あの家に暮らす四人の女 | 三浦しをん』あらすじと感想

『あの家に暮らす四人の女 | 三浦しをん』あらすじと感想

こんにちは。

忙しさにかまけているうちに、気が付いたら涼しくなっていました。

蝉の声が鈴虫の声に変わっていた事に昨晩気が付いて、ちょっとびっくりしております。

秋という季節は、読書はもちろん芸術や食も楽しめるのでとても好きです。

洋服も秋物が一番好き。

忙しいばかり言ってないで、好きな季節ぐらいはしっかりと楽しみたいと思います。

 

さて、今回は『あの家に暮らす四人の女|三浦しをん』を読みました。

三浦しをんさんと言えば、あの『舟を編む』を書かれた作家さんです。

ええ、もちろん三浦しをんさんには沢山の有名作品があることは存じております。

「あの」という言葉には”(私の大変好みである)”という意味が隠れているのです。

あれすごく良かった。最高。ボキャ貧になるくらい好き。辞書を作るお話なのに。

あらすじ、どんな作品か。

さて、私の好みは置いといて、この『あの家に暮らす四人の女』は没後50年・来年生誕130年を迎える谷崎潤一郎の大作「細雪」の現代版を書いたメモリアル特別小説作品という立ち位置との事。

私は細雪を読んだ事はないのですが、文庫本で900ページにも及ぶ大作で、当時から現在まであらゆる作家や読者からものすごく支持される作品なようです。

現代版というだけあってあの家に暮らす四人の女は細雪を踏襲しているところがあります。

それは女性四人が共同生活を送っているという所。

あの家(以下略)の登場人物は自分たちを細雪の登場人物に見立てているなんてシーンもあったりします。

 

あらすじは中公文庫より引用します。

ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の雪乃(毒舌)と多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。織田作之助賞受賞作。

これ読んでおわかりかもしれませんが、本作は細雪を踏襲しているとはいえ、現代版として、三浦しをん版として大きく違っているのです!

いずれも女性の生き方を書いた作品ということですね。

感想

本作は物語が緩やかに進みます。

ですので、大きなストーリー展開を望んでいる方には向かないです。

私もちょっと展開の大きな作品を期待して読んでしまっていたので、最初面食らいました。

実際、100ページ以上展開ないですからね。

正直最初飽きかけた…。

ですが、それでも最後まで読んでみるとやはり思う所はあるというもの。

現代の社会を描いた作品

最も大きな感想はこれです。

この本は現代を生きる女性4人の生活を書いているだけあって、現代女性の生き方の多様性というものを感じました。

また、そこから社会のありかたが伺えるのかな、と。

昔だったら毒舌女性やダメ男にハマる女性、作家として独立している女性というのはなかなか描かれないものかと思うのです。

最近「東京たられば娘」とか、「サバイバルウェディング」ってドラマもありましたけど、女性の生き方を描いた作品って増えてるし、楽しまれてますよね。

どっちも面白かった。

そしてこういったテーマの作品は時代とともに変化してずっと楽しめるなと思いました。

ちなみにこの作品、ドラマ化します

複数の登場人物の視点によって、真実が見える

途中から四人以外の登場人物が出てきます。

謎の老人・山田さんです。紹介の仕方面白い。笑

彼は家に仕える使用人だった人です。

なぜか使用人契約が無くなったのにずっと住んで仕えている謎の人。

この人は現代の父親像のメタファーです。

尽くそうと思っているけどそんなに役には立てなくて、結局見守るしかできない。

愛すべき存在ですね。

また、さらに別の視点が出てきます。

この人たちはストーリー展開に関係しているので、ネタバレしないでおきますね。

これらの複数の立場を持つ人、その視点が物語の中心人物である佐知の認識と異なった真実を教えてくれる作品です。

現代の人たちは人間同士の繋がりが希薄と言われていますよね。

でも、大切に思える人はだいたい誰しもいるもので。

それは家族だったり友人だったり、謎の老人だったり。

一人じゃないんだって事を温かく描いた物語でした。